足の外科グループ

慶應義塾大学医学部整形外科に所属する整形外科医のうち足の外科を専門とする医師のグループです。

足の外科班の歩み »

足に特有な疾患はそれを知っていさえすれば 

診断は必ずしも難しいものではない。それどころか、見やすく触りやすい足は、ちょっとしたコツさえ知れば診断がつけやすい部位であり、足にも病気があることを知れば、多くの足のトラブルを救えると考えています。日頃、診る機会の多い足の痛みや変形が、いざ診断し治療となると意外と知らないことが多いのも事実です。整形外科医で外傷以外の足の疾患を専門とする医師は意外と少ないのです。

 

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    足病変の分類
    足が痛いと言われると、足だけに目を奪われがちだが、原因が足以外にもあることも少なくない。まず足病変を原因でわけてみる
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    年齢と疾患・性別と疾患
    年齢によって多い疾患、少ない疾患があるので、取りあえず疾患を頭にうかべるのには、年齢は重要なポイントになる。性別によっても多い疾患に違いがある。
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    痛みの部位
    痛みの部位:前足部、中足部、後足部、足関節、下腿 の診断フローチャート

DLMO法

低侵襲で外来手術が可能な外反母趾手術法

DLMO:Distal Lineal Metatarsal Osteotomy(遠位直線状中足骨骨切術)

低侵襲で外来手術が可能な外反母趾手術法

外反母趾に対する最小侵襲骨切り術

2002年井口傑は本邦で初めて披露し関節鏡を含む内視鏡以外の手法として国内外で大きな注目を集めた。

2021年の日本靴医学会で「DLMO法への道」と題して講演
この手術法を編み出すまでのみちのりについてお話した内容をビデオでご覧ください



DLMO法の誕生秘話

(詳しい内容の表示:▶をクリックして下さい)
DLMO : Distal Lineal Metatarsal Osteotomy(遠位直線状中足骨骨切術)は、低侵襲で外来手術が可能な外反母趾手術法である。
2002年(平成14年)3月に、スペインのセビリアで開かれたEFAS(欧州足の外科学会)に出席した。この時、イタリアのボローニャ大学の Giannini教授が発表したSERI 法(simple, effective, rapid, inexpensive)に、いたく感銘を受けた。幸いGiannini教授とは
国際足の外科学会の理事同士だったので、早速、日本で追試させて欲しいと頼んだところ、快諾してくれた。しかし、手術手技の説明はSERI、「簡単でよく治り、短時間で、しかも安い」の一辺倒で、それもマカロニ英語でまくしたてられ、本当のところ意味不明だった。しかし、そのひらめきは素晴らしく、術後のX線像は中足骨骨頭さえ屈筋腱の上に戻してやれば、外反母趾は治ることを示していた。必要は発明の母と言われるが、当時、自分のベッド枠も手術枠も無い時代だったので、必要に迫られ外来手術場で局麻下に駆血帯無し、術者一人で短時間に行え、日帰り手術が可能な術式が生まれる結果となった。DLMO法は、母趾中足骨の頚部を骨膜上で横切し、骨頭を可及的に外側に平行移動して、一本のK-wireを末梢は骨膜下、中枢は骨髄腔内に刺入して固定する至極簡単な術式である。手術報酬は難易度・人数・時間で決まるので、それでなくても低い足の外科の手術点数を更に下げるつもりかと、お叱りを受けた位であった。
たった一本の鋼線で、それも骨皮質を通さない固定だから、最近流行りの強固な固定にほど遠いどころか、回せば回るし、引っ張れば伸びるしで、頼りないことおびただしい。しかし、下腿骨骨折を牽引療法一本で完治させ、大腿骨骨折をAOのダブル・ワイドプレート固定ですぐに歩かせ再骨折に泣き、鎖骨骨折を外来で局麻下にK-wire髄内固定した世代には発想の転換が武器であった。役に立った経験は、骨折の牽引療法で、骨癒合はある日、急に起こり、前日までグラグラだった骨が、今日はしっかり安定し、明日は矯正しようとしても動かないと言う事だった。ルーズな固定も、術中だけでなく術後にも矯正できると考えれば、欠点ではなく利点である。最近は母趾の回外が問題視されているが、矯正が不十分でも再来時に一捻りしてやればすぐ治る。それどころか骨切り部での内外反もK-wireごと曲げてやれば、後から修正できる。物は考えようとは良く言ったものである。
手の外科の時代に矢部教授から教わった、外反小指に対する中手骨外反骨切り術の腱の走行に骨軸を合わせると言う理論は、現在の外反母趾手術の原理そのものである。no-man’s landの屈筋腱移植で学んだ靭帯性腱鞘付着部の知識は、腱と骨の関係から骨切り部の決定するのに役立った。苦しく不自由な中で、必要に迫られ開発したDLMO法であるが、欠点を利点に変える発想の転換と、柔軟で自由な考え方、そして何故か何故かと考え続ける好奇心さえ失わなければ、どんな境遇でも少しは医学に貢献できる道を見いだせるものである。

 


足の外科班

1988年に慶大整形外科内に足の外科班が誕生し、1990年には足の外科専門外来を慶應義塾大学病院整形外科に開設した。当時は足の外科を専門にした外来は大学病院のなかでも唯一であった。しかし、2017年以降大学に足の外科班所属の常勤医は不在となっている。
以降、非常勤医として須田、池澤が交代で足の外科外来を、橋本が慶大スポーツ医学総合センターでアスリート外来(足)を行っている。

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